年に一度の『クラス替え』
わくわくとどきどきしますよね。
新しい出会いもあれば別れもあります。子どもにとっては特に一大イベントでしょう。
「仲良い子と同じクラスになれるといいな」
「あの先生が担任だったらいいな」
なんて話しながらはしゃいだ自分を思い出します。
さて、現在ほとんどの小学校、中学校、高校では1年間もしくは2年間ごとに『クラス替え』を行います。
これは、いろいろな生徒との関わり合いや日常の刺激のため、そしてクラスのバランスの調整のため。
(私の友人の中には、中学校や高校では親しい友人を作るための方策で3年間クラス替えがなかったよ…なんて言っている人もいて例外もありますが。)
今回はそんなクラスの分け方・方法に迫っていきたいと思います。
教師を目指している方も教員採用試験の対策に知っておくと良いかもしれません。小論文の方策にも情報を取り入れることができますし、参考になれば嬉しいです。
「クラス分け」は誰が行うのか
まず、クラス分けを行うのは誰なのか。
それはズバリ、担当学年の先生たちです。
学校には、担任を含めその学年を担当する「学年の先生」が必ず存在します。
副担任の先生も学年の先生ですし、その学年の授業を多く持つ先生がその学年を担当していることが多いです。
別の言い方をすると、「学年の集会で集まる先生たちがその学年の先生」ということになりますね。
そしてその学年の先生が、担当する学年の次年度のクラス分けを行うのです。
4月から3月までが年度の区切りですので、3月辺りから学年の先生が会議を行い、次の年度で進級する生徒のクラス分けをし始めます。
中学校を例にまとめると、
1学年の先生は、次の2学年のクラス分け
2学年の先生は、次の3学年のクラス分け
3学年の先生は、とりあえずクラス分けをしない
という分担でクラス分けをします。
1年間、担当学年の児童生徒の様子を見てきた情報をもとに、次の年度のクラスを作っていくわけです。
ちなみに3学年の先生については生徒が卒業していくためひとまずはクラス分けを行いません。そのかわり、新入生のクラス分けを行うことになります。
クラスの分け方
ここからが本題。学校によっても差がありますが、
- 各教科のテストの点数、成績
- 人間関係
- 問題行動
- リーダーシップ
- 運動・スポーツ
- 音楽活動
- 出身校
などを柔軟に考慮してクラスを編成します。
すべての要素を組み合わせていくのは難しくとても時間のかかる作業で、わたしが教員の時にはクラス分けに30時間以上もかかったこともあります。(…いやー、大変でしたほんと。)
クラス分けの手順
手順を簡単に説明すると、
- 学年末のテスト(期末テスト)の合計点順位で、上位から順番に各クラスに振り分ける。
- 各クラスの「リーダーシップ」「問題行動」「運動」「音楽活動」に関わる生徒の比重の偏りを調整する。
- 生徒の人間関係に配慮して微調整する。
といった流れになります。
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手順を詳しく辿っていきましょう!
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1テストの点数でおおまかに分ける1
テストの合計点で順番にクラスに振り分けます。
6クラスに分けるなら、6つのクラスそれぞれに1人ずつ順番に。
この作業はエクセルですぐにできます。
しかし、これだけではまだクラスの特徴に差が大きい「手つかず」の状態ですね。
ココから調整が入ります。
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2問題行動等を考慮して入れ替えを行う
「リーダーシップ」「問題行動」「運動」「音楽活動」に影響の大きい生徒の比重を調整していきます。
例えば、
Aのクラス:「リ」2人 「問」3人 「運」2人 「音」3人
Bのクラス:「リ」4人 「問」5人 「運」2人 「音」0人
となっていたと仮定します。(※一部省略して頭文字で表しています)
Bの「リーダーシップ」を取れる生徒が4人なので、Aのクラスの「リーダーシップ」がついていない生徒と入れ替えます。実際には男女比にも考慮していきますが、ややこしくなるためここでは割愛します。
「問題行動」についてもBが5人で負担が大きいことが考えられるため、Aの生徒と入れ替えて4人ずつにします。
「運動」については、得意とする生徒の人数や、極端に運動が苦手な生徒を考慮します。(※ここでは得意な生徒の人数しか考慮していませんが。)特筆する生徒が同じ人数ですので、現状維持です。
「音楽活動」については、特にピアノの伴奏ができる生徒が1つのクラスに1人はいるように調整をします。これは、合唱祭・合唱コンクールなどで伴奏者を出せるように、という配慮です。Aから1人、もしくは2人をBと入れ替えます。
ちなみに、入れ替えをする生徒は、大体テストの点数が同じくらいで、「リーダーシップ」「問題行動」「運動」「音楽活動」への影響を考慮しながら選んでいきます。
そうしないと、入れ替えた後「リーダーシップ」「問題行動」「運動」「音楽活動」の生徒のバランスがおかしくなったり、テストの平均点に大きく差が出てきたりしてしまいますので。
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3人間関係で微調整を行う
出来上がってきたクラス分けを見て、人間関係の微調整を行います。
例えば、一緒のクラスでは問題が大きくなる生徒を別のクラスにしたり、特定の友人がいないとクラスで1人になってしまう生徒にその生徒をくっつけたり、という作業です。
また、保護者から「あの生徒とは一緒のクラスにしないでほしい」と言われることもあります。
これに関しては、言われたことをそのまま鵜呑みにするわけではなく、
・過去に一緒に悪いことをしていた、つるむ
・いじめを一緒に行った
・相性が悪くよくケンカになる
などの状況を考えて、学校生活において生徒の安全を確保するために必要な場合に参考にさせてもらいます。
余談ですが、中学校・高校のクラス分けでは、付き合っているカップルを別のクラスにすることもあります。
私が高校生の時には250人ほどの学年に20組ほどのカップルがいたのですが、どのカップルも見事に7クラスに振り分けられました。
計算してないですが、偶然だとするとすごい確率です。おそらく先生の配慮でしょう。
その当時私のクラスにはたまたま1組だけ新カップルがいたのですが、新年度の最初の授業に来た先生がそれを見て「げっ、やば」と言ったのを今でも覚えています。(笑)
クラス数が多いとさらに大変な作業に
以上の流れでクラス編成をしていくわけですが、この例では2クラスの場合で考えてきました。
実際には6クラスや7クラスある学年も多いため、その分同時に考えていかなければならないのです。
漏れがあった場合は途中でクラスを変更させるわけにはいかないため、気が抜けません。
・・・クラス分けに時間がかかる理由が少し伝わりましたか?
ほんとーーに時間のかかる大変な思いをしてクラスを分けるんですね。
これで文句言われたら泣いちゃいます。
まとめ
というわけでここまでクラスの分け方についてお伝えしてきました。
子どもたちにとってはわくわくのイベントでも、先生にとっては地獄。
実際には少し違った方法でクラスを分けている学校もあるかと思いますが、大まかな流れはこんな感じです。
それではまた。