こどもがある程度大きくなってくると、親御さんは子供の成績が気になり始めますよね。気持ちはとても分かります。
「学校だけでは学力がちゃんと身に付いているのか不安」と言う方も多くいらっしゃることでしょう。
そんなときに解決策として「学習塾・予備校に通わせる」という選択肢があります。
塾に通っている割合は、
小学校で約35%
中学校で約60%
と言われています。(高校生はほとんど「予備校」)
学習塾だけでも全国で5万件以上ありますし、塾や予備校によって特徴が違うため、選ぶ際にはどこを見ればいいのかわからない・・・と言う人も多いことも思います。
そこで本記事では、
- これから子供を塾に通わせたい保護者の方
- 塾に通いたい生徒の方(特に中学生・高校生)
に向けて、失敗しない塾の選び方をご紹介していきます。
塾か予備校の違い どっちを選ぶ?
塾に通わせようとしたときによく聞く「学習塾」と「予備校」
周りの人に聞いても詳しく答えられる人は少ないのではないでしょうか。
塾と予備校って何が違うのか。
実は「教える対象」が大きく違います。
塾(学習塾)は主に中学生まで対象
塾は主に小学生、中学生を対象にしていることが多いです。
学習塾でも高校生も対象にしている塾もありますが、基本的には小学生や中学生が通うのが塾と思っていただければと思います。
小学生なんかは受験をしない子が多かったり、集中が続かない子もいたりします。
中学生では問題を抱えている生徒や、ブレやすい不安定な時期の生徒もいます。
さまざまな子供たちを抱える分、取り組みも塾によって大きく違っていることも。
塾の講師が進路指導まで担当しているところも多く、学校の先生に近い印象を受けるのが塾といえます。
予備校は主に高校生と浪人生が対象
予備校は大学受験を控える高校生や浪人生を対象にしています。
予備校の授業は一般的に「講義」と言われ、塾の「授業」と区別されています。
塾では学校の授業のようなイメージですが、予備校はどちらかというと大学の講義のようなイメージ。
予備校の方が学習のペースが速い印象です。
大手の予備校では河合塾や代々木ゼミナール、駿台などがありますね。
大学進学のためのチューターと呼ばれるアドバイザーがいたり、進学指導が手厚かったりと、「合格するため」の取り組みが強化されている印象です。
「合格」のための指導に焦点を当てているため、合格するためにいかに効率よく学習させられるか、と言う点に強みを持っている予備校が多くみられますね。
もちろん、学校の成績を上げるために利用する人も多いです。
予備校の講師は基本的に「講義のみ」を担当します。
そのため進路指導などは他の職員が担当するケースがほとんど。
この点も塾と予備校の違いでもありますね。
塾・予備校に通うメリット
メリット1:学校とは違う環境で勉強できる
「学校では勉強に集中できない」
という子も多くいます。
「夕方から夜にかけては集中力が高まる」なんてケースや、「生活面の指導がない学校以外の場では集中できる」といったケースも。
学校という場から離れることで、効率的に勉強ができるという点はメリットとして考えられます。
メリット2:家では集中できないが塾では勉強に集中できる
よくあるケース。
「家では勉強に集中できない」といった子供にとっても塾はおすすめ。
コツコツと塾で集中して勉強をすることで、学習習慣にもつながります。
メリット3:定期テストや受験対策ができる
塾で教える教科は受験を見越した各教科になります。
そのため、主に以下の教科が中心となります。
- 国語
- 算数(数学)
- 理科(化学、物理、生物など)
- 社会(地理・歴史、公民、世界史、日本史など)
- 英語
以上の各教科の受験対策やテスト対策が塾や予備校では学校よりも手厚いことがよくメリットとして挙げられます。
メリット4:成績を上げることに力を注げる
学校でどうしても良い成績が取れなくて悩んでいる生徒が、塾で効率的に勉強して成績を上げることができたケースはたくさんあります。
もちろん、本人のがんばり次第な部分もありますが、
「効率よく勉強する」
「わからないところをすぐに質問して解決する」
と言う点で塾や予備校を活用する人が多いですね。
メリット5:勉強と他の時間のメリハリがつく
塾や予備校に行って集中して勉強し、家では自分の時間を過ごすというメリハリのある生活を送ることもできます。
もちろん学校の宿題や塾の勉強なども家でやることがあるかと思いますが、保護者の立場から見ても、塾や予備校に行っていることで安心感があります。
必要以上に「勉強しなさい」なんて言わずに、そして言われずに済むかもしれません。
メリット6:勉強の習慣が身に付く
塾や予備校で定期的に勉強する時間をとることで勉強の習慣が体に身に付くのは大きなメリット。
勉強するときに大事なのは
「いかにはやく勉強に取り掛かれるか」
と言う点。
「勉強がめんどくさいなー」
「もうちょっとしたらやろうかなー」
なんて思っているうちに結局やらずに終わる。
みなさんもこんな経験をしたことありませんか?
「勉強の習慣を身に付けさせたい」ということで塾や予備校に通わせる親御さんも結構多いんですよね。
メリット7:同じ塾に通う子との交流が深まる
塾に通っているうちに同じ目標を持った子との交流が深まることも。
塾で通じた友情が大人になってからも続くなんてケースもあるので、切磋琢磨して勉強に励む時には家庭で勉強するよりも塾や予備校で勉強した方がいいと言えるかもしれません。
メリット8:塾や予備校によっては落ち着いた環境で自習ができる
塾や予備校には「自習室」など子供たちが自分のペースで静かに勉強できる環境を提供しているところもあります。
有効に使うことで、家で勉強するよりも集中した効率のいい勉強の時間を確保できます。
メリット9:分からないところはすぐに質問できる
学校の先生にもわからないところは聞けますが、家で勉強中にすぐに聞くことはできません。
また、学校の先生は雑務で忙しいため、質問しようと思っても先生の都合でなかなか聞けないなんてこともよくあります。
その点、塾や予備校では問題を解いてわからないところはすぐに講師に聞けますし、授業後に質問するのも学校よりも簡単にできます。
「わからないことをわからないまま」にしておかないためにも有効ですね。
メリット10:受験対策にも力を入れている
塾や予備校では受験対策にも力を入れているところが多いです。
学校でも受験対策をしていますが、生徒全員に向けていますので課題の学力レベルが自分に合わないことも。
やはり受験対策にはある程度自分のレベルに合った対策を実施してもらえる塾や予備校が無難でしょう。
塾・予備校に通うデメリット
デメリット1:塾・予備校に行くまでに時間がかかる
当たり前のことかもしれませんが、まず塾や予備校に行かないと勉強が始まりません。
家の近くに行きたい塾や予備校があればあまり負担にはなりませんが、電車やバスに乗るようだと、移動に少し手間がかかります。
デメリット2:費用が高い
塾や予備校でよくイメージされるのが「費用が高い」と言う点。
たしかに塾や予備校は学校よりも費用がかかることが多いです。
平成28年に文部科学省が発表したデータによると、
年間の学習塾費用の平均は
公立で約20万円、私立で約14万円とのこと。
月に1万~2万程度の費用がかかっている計算になりますね。
受験対策のためか、学年が上がるにつれて費用も高くなっています。
授業形式では、集団指導が一番安く、1対1の個別指導が高めになっています。
月に10回の集団指導で2万円かかるところもあれば、週に1回の個別指導で月に1万、週に4かいの個別指導で月に5万なんてところも。
塾や予備校は必要な頻度(通うペース)と教科をきちんと考えて通うべきと言えますね。
最近では費用が控えめな塾・予備校や、セットプランなどを提供しているところもあります。
また、受けたい教科だけを受けることもできますので、必要ない教科分は費用を抑えることもできますね。
思っていたよりも費用が安く済むなんてこともありますので、一度調べてみるといいでしょう。
デメリット3:夜遅い時間の授業もある
20時~や、21時~の講義や授業が行われている塾や予備校もあります。
親御さんからしたら、安全面を考えると帰りが遅くなるのは心配になるデメリットかもしれません。
ただ心配な場合には門限を決めたり、遅い時間の講義は受けさせないなど融通がききますので、安心してもらえればと思います。
塾の選び方で失敗しない方法
その1:大前提として塾・予備校は入る目的によって選ぶ
まず、塾や予備校に通う目的は人それぞれ違います。
- 成績を上げたい
- 勉強の習慣を身に付けたい
- 進学指導を受けたい
- 空いた時間を有効に使いたい
- 分からないところを気楽に質問したい
- 家だと集中できないから塾で教えてほしい
- 家で勉強ができないから自習室を使いたい
- 個別指導で勉強したい
- 効率的なテスト対策をしたい
・・・など
目的をしっかりと整理して、求めている環境が整っている塾や予備校を探していきましょう。
その2:近くの塾や予備校を事前にネットで調べてみる
よくある間違いでも紹介していきますが、「近くに良さそうな塾があるから」と、調べずに塾に申し込むのは危険です。
多少遠くても目的に合った塾や予備校を選んでいくべきですので、事前にネットで条件に合う塾を調べておきましょう。
塾を選ぶときにチェックすること
個別指導か集団指導か
個別指導か、集団指導かで費用や学び方に大きく差があります。
調べてみればどのような形態で指導が行われているかわかるので、子供の希望を聞いてみたり、家族で相談してみたりして適切な指導方法の塾・予備校を見つけましょう。
個別指導、少人数指導
個別指導では1対1もしくは講師1人につき生徒5人程度の人数で集団指導よりも手厚くフォローをします。
集団授業の形式よりも質問がしやすかったり個別性が高く自分のペースで学習できる分、費用は少し高め。
また、塾によっては自習形式で学ぶ校舎もあります。
全体指導(集団授業)
学校のようなスタイルで授業を行います。
流れが学校の授業と似ているため、子供たちにとっては一番取り掛かりやすいかもしれません。
その分、講義のスピードについていかないと、わからないところがそのままに進んでしまいます。
塾によっては学力レベル別(段階別)にクラスが分けられ、レベルに応じた難易度とスピードで講義を受けられる塾もあります。
学力別の指導が行われているか
講義や授業を受けるときに確認しておいた方がいいのは、子供のレベルや段階にあった柔軟な指導をしてくれるかどうかと言う点。
塾や予備校によってはかなりのハイスピードで問題を解いていくクラスもあるので、事前に確認を。
難関校を目指すかどうか
子供が難関校を目指すなら、難関校の受験対策に強みのある塾や予備校がおすすめ。
ある程度のレベルの高校、大学なら、一般的な塾や予備校で十分対策ができます。
中学生、高校生の塾・予備校選びでは進学指導の有無にも注意
進学指導(進路指導)も塾や予備校で対応可能なところが多いです。
一応、希望の塾や予備校で進路相談に乗ってもらえるか、進路指導をしてもらえるかなど聞いておけといいかもしれませんね。
大学受験の際には相談できるチューターの存在も大きいものです。
予備校にチューター制度があるかも確認をしておきましょう。
塾の選び方でよくある失敗例10個
塾・予備校を選ぶときによくある失敗例を紹介します。
よくある失敗例
- 友達が通っている
- 費用が安い
- 家から近くて通いやすい
- 学校から近くて学校帰りに寄り道しやすい
- 新しい塾で施設もきれい
- 周りの親御さんからの評判がいい
- 合格実績が高くて、入り口に合格者がたくさん記載されている
- 塾長(施設長)がいい人で話しやすい
- 通っている子が多い or 少ない
- 調べるのが面倒だからココでいいや
友達が通っている
「友達が通っているから」と言う理由で塾を選ぶ人は多いですが、これは危険な選び方。
友達のレベルや得意分野とあなた(お子さん)は違いますし、塾や予備校の先生との相性や通いやすさもあります。
友達と一緒の塾で競い合ったり高め合ったりして勉強していくのは心強く、楽しいかもしれませんが、塾に入る目的はひとそれぞれ。
塾や予備校によって受けられる授業や講義、講習内容も異なってきますので、『一番の目的は何か』を考えて塾や予備校を選びましょう。
「逆に友達がいない塾を選びたい」というケースもあります。
この場合にも同じことが言えますね。
さらに加えて、「人気がない」「評判が悪い」「指導がよくない」ことで友達が通っていないのかもしれません。
費用が安い
最近では費用が安い塾や予備校も見受けられます。
しかし、安く見えても教科数を増やしたり、通う日数を増やしたりするとそれなりの費用になります。
希望に合う条件で契約を進めていると、最終的に他の塾や予備校よりも高くつく・・・なんてことも考えられますので、安いからと言って飛びつくのはやめましょう。
また、夏期講習や冬期講習などの追加費用やテキスト代などが別費用でかかるところも。
費用が安いと、塾や予備校にいる職員や講師の数が少ないことや、集団授業の講義や授業が中心の可能性も高いです。
年間でいくらかかるのかを計算して、納得いくまでじっくり調べてみてくださいね。
家から近くて通いやすい
家が近いというのはメリットでもありますが、それだけで入塾を決めないように。
今はネットで他の塾や予備校をすぐに調べられます。
目的に合った塾や予備校を探しましょう。
学校から近くて学校帰りに寄り道しやすい
たしかに学校から近ければ帰りに寄り道できるかもしれません。
しかし、基本的には一度帰宅したあと、時間が来てから家を出て塾に行くケースがほとんど。
塾によっては講義の時間が20時や21時になることも。そうなると夜ご飯を食べてから塾に行く生徒もいます。
・・・学校に近いからと言ってメリットかと言われると、実際そうでもなさそうですね。
新しい塾で施設もきれい
最近の建物はキレイで飛びつきたくなりますが、見るべきポイントは教えてくれる講師の先生と勉強の対策。
また、新しい塾と言うのはスタッフが配属されて間もないため、現場の動きや書類に慣れていないことも考えられます。
中には新人だけでまわしていて、ベテラン社員がいない塾なんかもあるそうです。
新しい校舎ほど、社員やスタッフをしっかりと見極めたいですね。
周りの親御さんからの評判がいいから
塾に通う目的は人それぞれだとお伝えしました。
いくら周りの人の評判が良くても、それが合うかどうかは入ってみるまで分かりません。
周りの人と感じることが違うなんてことはよくあること。
評判に流されず、中身を見て判断しましょう。
合格実績が豊富で受験に強そう
合格実績はいくらでもごまかせます。
同じ名前の塾を全部まとめて「○○高校合格者100名」とうたうこともできますし、1000人中1人でも東大に合格すれば「東大合格者経験あります」なんて言えちゃいます。
1000人中10人合格では1%の合格率
10人中10人合格すればそれだけで100%の合格率
しかも、頭のいい子が複数の学校に合格していて、あたかも何人も合格したかのようにアピールされることも。
合格実績は、数字に惑わされないように。
塾長(施設長)がいい人で話しやすい
やはり塾や予備校で一番大事なのは教科の指導。そうなると、塾長ではなく、講師の力量が求められます。
「丁寧に指導してくれる」
「わかりやすい」
「教え方がうまい」
「質問にちゃんと答えてくれる」
そんな塾講師はたくさんいます。しかし、もちろん真逆の塾講師もいます。
体験授業などで、授業や講義の雰囲気を感じてみるのが一番かと思います。
通っている子が多い or 少ない
通っている子が多いというのも塾選びの決め手になることが多いです。
たしかに知っている子が多いのは安心感もありますが、それだけ会話などの誘惑に負けやすくなります。
集中して勉強するために塾や予備校に通うなら、通っている子が多いからと言う理由だけで選ぶのはおすすめできません。
また、「通っている子が少ない方がいいから」と言う理由で塾を選ばれる方もいますが、先ほども伝えたように、指導方法が悪くて生徒が定着しない塾の可能性があります。
通っている子が少ないところは、教室が狭くて学習環境が悪かったり、家からかなり遠かったりと、不便な点や不安な点もあるのではと思います。
調べるのが面倒だからココでいいや
さいごになりますが、「調べるのが面倒だから近いところでいいや」などと一つの塾にすぐ絞ってしますのは絶対にやめた方がいいです。
高いお金を払うなら、子供に合った塾や予備校を選ぶべきだと強く言わせてください。
塾選びが将来の進路にまで関わってくることも考えられます。
一生の投資だという覚悟で複数の塾を調べてみてください。
塾の選び方まとめ
いかがだったでしょうか。
少し長くなりましたが、ここまで塾や予備校の選び方のポイントをお伝えしてきました。
よくある失敗例でたくさんの人が後悔をしています。
何事も準備が肝心です。塾選びも、しっかりと下調べをしてから進めていきましょう。