教員採用試験を受けるみなさんこんにちは!
今回の記事では小論文の書き方・文章構成について詳しくお伝えしていきます。
教員を目指す人の参考になればうれしく思います!
教員採用試験の小論文の書き方
東京都を例に考えていきます。
東京都の小論文試験は一次試験で実施されており、2017年を見てみると文字数は1000字。そこまで多くはありません。原稿用紙2枚と半分。
ポイント
文字数に対して8割は文章を書くようにします。(できれば9割)1000字以内という課題ならば800字以上。
文章の結びは「である」口調で書くのが無難。
「です」「ます」調でも良いのですが、作文のような文章になりやすいですので注意が必要です。悩んだ方は「である」口調で書き始めてみてください。
それでは頻出テーマを例に小論文の文章構成を考えていきましょう。
論作文の文章構成と模範解答
論文を4つに分ける
1000字の小論文を大きく4つに分けて考えます。
- 書き出し・導入文(300字程度)
- 方策その1(300字程度)
- 方策その2(300字程度)
- 締め(100字程度)
1~4のそれぞれの区分に対して、上記の文字数の割合が大きく変わらないようにすると良いでしょう。
また自治体によって文字数が異なる場合にも文字数の割合は変えずに肉付け・修正していくように考えていくと良いでしょう。
それでは4つの区分の書き方について解説していきます。
模範解答を例文として載せていきますので参考にしてください。
書き出し・導入文
まずは導入から入ります。
今回は「教員に求められる資質・能力」という頻出テーマを例に挙げていきます。
①生徒は学校で多くの時間を過ごすため、教師が人格に与える影響は大きい。
そのため、教師の資質能力の中でも、深い教育的愛情と、高い専門性に基づいた実践的指導能力が大切である。
②私が部活動のボランティアで通う高校には、顧問の先生とうまくコミュニケーションをとることができず、消極的になっている生徒がいる。
また、生徒の中には、「授業が難しくて、つまらない」と、授業に対する不満を漏らす生徒が見受けられた。
③以上のことから、教師として、生徒と好ましい信頼関係を築くことと、授業を工夫して生徒の学習意欲を高めることが求められている。そのための具体策を2つ述べる。(272字)
書き出しと導入文について詳しく補足説明します。
step
1まず①の部分についてです。
①生徒は学校で多くの時間を過ごすため、教師が人格に与える影響は大きい。
そのため、教師の資質能力の中でも、深い教育的愛情と、高い専門性に基づいた実践的指導能力が大切である。
自分の意見を簡潔に述べます。ここでは問われている「教員の資質・能力」を2つ挙げています。
方策も2つ考えていくのが1000字程度の小論文では書きやすいですので、「教員の資質・能力」も2つ挙げています。
step
2②の部分について
②私が部活動のボランティアで通う高校には、顧問の先生とうまくコミュニケーションをとることができず、消極的になっている生徒がいる。
また、生徒の中には、「授業が難しくて、つまらない」と、授業に対する不満を漏らす生徒が見受けられた。
②では、①を裏付ける内容を盛り込みます。
ここには自分の経験やニュースなどで取り上げられる話題を入れるようにすると書きやすいです。
教育実習での経験や、自分が学校に通っていたころの記録を辿ってみても良いと思います。
この部分は場合によっては作り話でも良いです。
正直なところ、本当の話かどうかは書いている本人にしかわからないので、多少話を盛っても文章の内容が違和感なくきちんと伝われば良いのです。
自分の意見の説得力が増すような内容で、学校の問題に触れたエピソードが書けたなら掴みはバッチリ。
▼学校のエピソードについてはこちらを参考に
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step
3③の部分について
③以上のことから、教師として、生徒と好ましい信頼関係を築くことと、授業を工夫して生徒の学習意欲を高めることが求められている。
そのための具体策を2つ述べる。
③では、もう一度自分の意見を書きます。
場合によっては自分の意見をより具体的に書いていきます。
今回の例では、
深い教育的愛情 → 生徒との信頼関係
高い専門性に基づいた実践的指導能力 → 授業を工夫して学習意欲を高める
といった感じでより具体的な案に変換して述べています。
そしてこの後に述べていく方策につなげる文章を書いて導入文は完成です。
方策その1
自分の意見を実際の学校現場にて活かす方策を述べていきます。先ほどの導入文で
- 生徒と好ましい信頼関係を築くこと
- 授業を工夫して生徒の学習意欲を高めること
を述べているので、まず一つ目の生徒と好ましい信頼関係を築くための方策を述べていきます。
1.積極的にコミュニケーションを取り、信頼関係を築く
信頼関係を築く上で、コミュニケーションは欠かせない。
授業内だけでなく、多様な場面での生徒との触れ合いが、生徒とのより良い関係を築く上で大切である。
そこで私は学級活動や授業はもちろん、特別活動や清掃などの時間に積極的に生徒とコミュニケーションをとっていく。
また、生徒の普段の姿や頑張りを認め、良いところは大いに褒めていく。
普段とは違う姿に気づき、生徒の抱える悩みにも全力で相談に乗って助言をしていく。
まず、一番最初に一行で方策を書く。この例文では「積極的にコミュニケーションを取り、信頼関係を築く」という方策を書いていますね。
その後、自分の意見を具体的に述べる。
「そこで私は~」というフレーズは非常に役に立ちます。有効に使っていきましょう。
方策その2
2つ目の授業を工夫して生徒の学習意欲を高めるための方策を書きます。書き方は1つ目と同じです。
2.一人一人が達成感を味わえる授業で、学習意欲を高める。
生徒が学習意欲を高めるには、自己肯定感を高めることが有効である。
「できた」という体験を得ることによって自己肯定感が高まり、生徒の学習意欲を高めることができる。
そこで私は、体育の授業において、課題の難易度が低いものから高いものまで掲示した、課題達成カードを利用していく。
生徒が自分のペースで課題に取り組めるようにし、今ある力で「できた」という体験をさせていく。
また、同じ学習段階の生徒でグループを作り、課題についての話し合い活動を取り入れ、話し合いの中でアドバイスやコツを共有し、課題達成のための力とさせていく。
また、カメラなどの視聴覚教材を使用し、自分の動きを客観的に捉えさせ、課題を達成するための手助けとしていく。
私は生徒の頑張りを見逃さず、些細な成長でも大いに褒めていく。
一つの方策に工夫できる点がたくさんある場合には、うまく文章に盛り込む。
簡潔に書くことでたくさん工夫点が盛り込め、読み手の採点者にもしっかりと考えられているという印象を与えます。
締めの文章
最後に締めの文章で終わります。
ここまでで9割ほど文章は埋まっているはずなのでもう一度簡潔に自分の意見を振り返ります。
以上、生徒と好ましい信頼関係を築き、学習意欲を高めるための授業づくりをしていく。
「教育は一日にしてならず」
粘り強い実践を通して、生徒とともに、向上心を持って成長していく覚悟である。
最初の文で自分の意見を述べます。その後、終わりの言葉で締めくくります。
実はこの時に小論文を印象付けるちょっとした技があります。
「教育は一日にしてならず」のような簡潔で読み手に印象を与えるような「決めフレーズ」があると文章がより輝きます。
「決めフレーズ」があるとその後に続く締めの文章も使いまわせるため、もし思いついた方は積極的に使っていくようにすると良いでしょう。
教員採用試験の小論文の書き方:まとめ
以上、小論文の書き方・文章の構成方法について述べてきました。
- 導入(300字程度)
- 方策その1(300字程度)
- 方策その2(300字程度)
- 締め(100字程度)
を基本として小論文を書くようにすれば、自然と文章にまとまりができて読み手に伝わりやすくなります。
学校の先生を目指して教員採用試験を受けるみなさん、ぜひ参考にしてみてください。